2026年現在、円安による購買力の低下、中国の人件費上昇、一部産業の東南アジアへの生産移転、米中貿易摩擦による影響など、中国調達を取り巻く環境は大きく変化しています。こうした状況の下でも、日本のバイヤーは中国からの調達を続ける価値があるのでしょうか。
私の考えでは、中国は依然として代替困難な調達先だと考えています。理由は以下の3点です。
1.サプライチェーンの集積と充実度は、短期的に代替できない
東南アジアには、品目によってコスト面で優位な地域もあります。一方、中国には世界でも類を見ないほど充実した産業集積があります。
たとえば、ある商品に金属部品、樹脂部品、包装資材、電子部品が必要な場合、それらを一つの地域でまとめて調達できるのは中国の大きな強みです。
この「ワンストップでの調達・生産体制」は、開発期間の短縮、コミュニケーションコストの削減、物流工程の簡素化につながります。
2.品質管理と供給の安定性が大きく向上している
この10年、中国の工場は厳しい淘汰を経験してきました。環境規制の強化、輸出入環境の変動、コロナ禍による再編を経て、現在も事業を継続している工場は、品質管理、納期遵守、問題発生時の対応力を大きく高めています。
今の中国では、信頼できる工場を見つけられる可能性は5年前より高まっています。課題は「良い工場があるか」ではなく、「その工場を見極め、つながれるか」にあります。
3.開発スピードと柔軟な生産対応力は、世界でも高水準にある
中国の工場は、新商品の開発スピードや、小ロット・カスタマイズ生産への対応力において、依然として世界でも高い競争力を持っています。
素早くテストし、改善を重ねたい日本の中小企業にとって、中国サプライチェーンの柔軟性は、東南アジアでは簡単に代替できない強みです。競争の激しい市場では、このスピードの差が勝敗を左右することもあります。
ただし、対中調達を縮小すべきケースもある
すべての品目が中国調達に適しているわけではありません。以下の2つのケースでは、慎重に検討し、段階的に中国からの調達比率を下げることもおすすめします。
ケース1.低付加価値で差別化しにくい、標準化された汎用品
たとえば、使い捨て消耗品、汎用金属部品、基本的な包装資材などです。これらは製造の技術的な参入障壁が低く、多くの国や地域で量産できます。
こうした品目では、中国の人件費・土地コストの優位性は以前より小さくなっています。ベトナム、インドネシア、インドなどの東南アジア・南アジア諸国の方が、コスト競争力を発揮するケースも増えています。
ケース2.輸入規制・高関税・厳格な検疫の影響を受けやすい品目
一部の化学製品、鉱物資源、高エネルギー消費型製品、動植物検疫の対象となる商品は、通関の遅延、追加関税、検疫期間の長期化といった問題に直面しやすくなっています。
このような品目は、政策変更による影響を予測しにくく、長期的な調達リスクが高い分野です。
市況が厳しいほど、調達は「総合力」で考える――4つの実践ポイント
検討の結果、自社の商品が引き続き中国調達に適している場合でも、従来と同じやり方では不十分です。現在の環境に合った調達方法へ見直す必要があります。
1.単価だけで判断せず、見えない損失も含めた総コストで考える
多くの日本企業は工場の見積単価に注目しますが、次のようなコストを見落としがちです。
- コミュニケーション不足による手直し・再製造の損失
- 検品不足による不良品流入の損失
- 納期遅延に伴う航空便での緊急補充コスト
- 為替変動による利益の圧迫
これらを合計すると、実際の総コストは工場見積を大きく上回ることがあります。単価を極端に下げることよりも、こうした見えない損失を減らすことに注力する方が重要です。ここに、KIMI CO.のような専門的な調達代行会社が果たす価値があります。
2.自社規模に合った調達方法を選び、資金負担を軽くする
企業規模によって、最適な調達戦略は異なります。
- 大手ブランド・メーカー:高精度なカスタム製品や中核商品は中国調達を維持しつつ、一部を東南アジアの工場で代替できるようにしておく。「中国を主力、東南アジアを補完」とする複数調達先体制が有効です。
- 中小小売事業者・EC事業者:過剰在庫を抱えるための大量発注は避けるべきです。調達代行を活用し、小ロット・高頻度で補充することで、一度の資金負担を抑え、売れ残りリスクも減らせます。KIMI CO.は、こうした中小事業者様の調達支援を得意としています。
3.情報格差を埋め、リスクをコントロールする
市況が厳しい時期ほど、海外調達を自己判断だけで進めるのは危険です。越境調達における最大の課題は、情報の非対称性にあります。
工場の実態、業界の最新動向、政策変更の方向性を、遠隔地にいるだけでは十分に把握できません。情報格差を埋めるには、次のような方法があります。
- 中国に長く根を張り、日本企業の支援に特化した調達パートナーを持つ
- 単一のルートに依存せず、自社独自のサプライヤー評価基準を整備する
4.リスク管理を調達判断の中心に置く
利益を出しやすかった時代には、リスク管理は「あると良いもの」でした。しかし利益率が低下している今、リスク管理は事業を守るための必須条件です。KIMI CO.では、お客様への支援においても、この考え方を最優先にしています。
具体的には、以下の対策が考えられます。
- 重要品目ごとに2〜3社の代替工場を確保する
- 契約書に品質基準と違約時の補償条項を明記する
- 定期的な工場監査、中間検品、出荷前検品の3段階で品質を管理する
この3段階の検品体制は、KIMI CO.が独自に構築した標準業務プロセスです。そのほか、適切な貨物保険への加入も重要です。
まとめ
中国調達は、もはや「何もしなくても利益が出る」ビジネスではありません。
しかし、十分に情報を集め、信頼できるパートナーを選び、適切な戦略を取る日本企業にとって、中国は今なお深く取り組む価値のある調達先です。
重要なのは、業界と現地事情を本当に理解し、あなたの立場に立って支援してくれるパートナーがいるかどうかです。KIMI CO.は、中国現地の知見を活かし、日本企業の調達課題に寄り添ってサポートします。
次回は、日本企業が中国から調達する際に直面しやすい「情報格差」とその課題について解説します。
本記事はKIMI CO.が作成・監修しています。中国からの仕入れ・調達をご検討中の日本企業様は、どうぞお気軽にご相談ください。